合理的なランカーシーバス!
(写真を拡大して見ることができます)
ランカーシーバスの特性について、効率の良い捕食活動を行って多くのカロリーを必要とする巨体を維持しているので、数あるポイントの中でも最も条件の良いポイントにランカーシーバスが存在していることに前回も触れた。
ランカーシーバスは効率よく合理的な捕食行動をする為に海水と真水の比重の差を利用する。
まずは水の特性を考えてみよう。実は河川や河口には川から流れてくる真水が多く存在するが、比重を考えてみると、比重の重い海水の層が下で、その上に真水の層が流れていて、真水と海水が完全に混じることはない。
そして雨などが降り、プランクトンの栄養源となる有機物が川から海へと流れ出ると河口周辺ではプランクトンが発生し、そのプランクトンを捕食するコノシロやサヨリ、イワシなどが接岸し賑わってきて、更にそれらのベイトフィッシュを捕食するために食物連鎖の頂点に位置するシーバスが接岸する。
また、そうした海のベイトフィッシュだけではなく、秋になれば落ちアユやイナっ子の群れなど河川や河口のように狭い空間で効率よく捕食できる魚も数多く存在するので、こうしたポイントではランカーシーバスに遭遇する確率は非常に高くなる。
真水と海水の層を考えよう!
(上げ潮の状態)
上の図はものすごく下手くそな絵で申し訳ないが、河川や河口のストラクチュア(障害物)に居ついたシーバスを示したものである。
この図の薄い青色の部分が真水の層で、その下の濃い青色の部分が塩分の濃い海水の層となっている。
薄い青色部分の黄色の矢印は川から流れる真水の方向を示しており、濃い青色部分の黄色い矢印は干潮から満潮にかけて上げ潮時の海水の流れ方を示している。
ランカーは上げ潮に乗ってやってくる!
(下げ潮の状態)
そして、この図は満潮から干潮にかけての下げ潮のストラクチュアの状況を示している。
これら二つの図を見比べてみると、どちらがランカーシーバスにとって効率よく川の上流から流れてくるベイトフィッシュを捕食しやすいだろうか?
当然、ストラクチュアに居ついているので、どちらもランカーシーバスにとって捕食活動をしやすい状況には変わりないのだが、薄い青色で示した真水の層の厚さを比べてみると上げ潮の方が薄くなっていることが判るとおもう。
実は、ここが大事な部分で、ランカーシーバスの巨体は上げ潮時には下流から押し上げられる潮の流れにのって、ゆったりと泳ぐことができるが、下げ潮時には潮の流れが激流のように速くなり、潮位も下がってくるので同じストラクチュアに長く留まることはできない。
アングラーの視点で考えれば、下げ潮の時は上流から下流にかけて潮位が下がるにつれて海へと移動するシーバスを追ってラン&ガンしなければならないが、その前に、上げ潮時と下げ潮時に同じポイントにルアーをキャストした場合を想定すると、上げ潮の時は川の流れも緩く、真水の層が薄いのでストラクチュア際に潜むランカーシーバスにシンキングペンシルやシャロー系のミノーなどを使ってじっくりと見せてバイトを誘うことができるが、下げ潮の時は図の如く、流れが速い上に真水の層が厚く、シーバスの口元付近にルアーの軌道を持ってくるのは難しく、かなりタイトに攻めなければならなくなる。
しかしながら、余談ではあるが実釣の再に下げ潮の流れをじっくり観察すればよく判ると思うが、激流のように流れる下げ潮の河川や河口であっても、激流がふっとした瞬間に緩くなり数分後に再び流れが速くなるといったことを繰り返しているので、流れが緩くなった時にキャストしてストラクチュア際のシーバスに口を使わせることも可能であることを付け加えておく。
ポイントを探そう!
(写真を拡大して見ることができます)
このようにランカーシーバスの特性として、ストラクチュア際に居ついて上げ潮の流れに乗っかって上流から流れるベイトフィッシュを待ち構えて効率よく捕食していることを書き綴ったので、次はどのように、こうしたポイントを探すのか?考えてみよう。
ポイントについては昼間の干潮時に下見をすることが最も手っ取り早い方法であり、昼間に最も潮位が下がる春先などはデーターを収集するにはベストシーズンだ。
そして干潮時でも水中にあるポイントを探し出すのは至難の業であるが、こうしたポイントほどランカーシーバスが居つきやすく、人に釣られたプレッシャーがかかっていないので、見つけることができれば最高のマイポイントとなるだろう。
正直なところ、誰も釣っていないフィールドを黙々とラン&ガンするのは結構つらいが、こうした手順を踏むことで得る情報によって、釣れなくても様々な引き出しが増えるので貴重な体験となる。
実際にはポイントかもしれないという場所でキャストをしてルアーを引いてくる過程で、運がよければ一発でヒットということもあるが、ショートバイトをたどってゆくことでランカーシーバスに近づけることが多い。
ルアーに何かがあたった?ショートバイト?確かにボラやイナっ子の群れやチヌなどがルアーにあたることもあるが、ショートバイトしたポイントで結局釣れなくてもデーターを残して置くことで、次の日、違う潮の流れと時間帯、そしてポイントをほんの少しずらしてみるなどの過程でにズドンっとランカーシーバスがヒットすることも多々あるので、見えないポイント探しも是非挑戦してみて欲しいと思う。
結局はシーバスの面白さは情報収集にあるのかもしれない、こうした洞察力を理屈をこねながら磨く作業はあらゆることに役立つ。
次回はランカーシーバスをゲットする為に、どのルアーを使えばいいのか考えてみたいと思う。
コメント